UIUXの改善のために、まずすべきこと。それは課題の発見です。
ではその課題の発見のための有効な手段は何か。自分でUIUXをチェックするのもいいでしょう。ですが、それよりもさらに有効なのは、ユーザーインタビューです。
ここで一度、ユーザーインタビューとは何か、ということについて説明いたします。
ユーザーインタビューとは、商品・サービスを実際に利用しているユーザーや想定されるユーザーなどに対して、質問に回答してもらいデータを収集する分析方法です。
おおよそ想像通りの意味かと思いますが、実際に行うのにはいくつかのコツが必要です。今回は、ユーザーインタビューを行うにあたって押さえておくべきやり方、ポイントについて、一緒に理解することを目的した記事となります。
ユーザーインタビューの方法は以下の通りです。
・構造化インタビュー
・半構造化インタビュー
・非構造化インタビュー
また、ユーザーインタビューのポイントは以下通りです。
・オープン・エンド型で行う
・バイアスを取り除く
・ストーリーを引き出す
それぞれ説明していきます。
構造化インタビューとは、構造化、つまりすでに決められた質問項目に沿って、一つずつ質疑応答をしてインタビューを進めていくインタビュー方法となります。
この方法のメリットは、一定の質問を大規模な回答者から定量的に得られる、という点です。データ分析にもかけやすいので、そういった方法を考えている場合は、構造化インタビューが適切でしょう。
一方デメリットとして指摘できるのは、気になった返答に対する深掘りの質問など、質問に質問を重ねて予想だにしなかった新しい発見を得る、という事は困難となる点です。すでに一通り考慮して質問内容を構造化している、というのでもなければ、思わぬ発見を見落としてしまう危険性に帯びています。
半構造化インタビューとは、すでに決められた質問項目に沿って質疑応答をしつつ、時折その場の判断で別の質問を追加することで、本質的なニーズがどこにあるのか、ユーザーの背景としてどんなものがあるのか、といった未知の情報について深掘りしていくインタビュー方法です。
メリットとして、根幹となる「質問したいこと」はリスト化してあるのでブレずに行えますし、他方開発側で想定していなかった情報というものが発見できる可能性を秘めている、という点で、一挙両得的なメリットがあります。
ただしデメリットというかリスクがあり、深掘りにはインタビュースキルが必要となります。スキルの低いインタビュアーでは深掘りするポイントが分からず流してしまう可能性がありますので、半構造化インタビューを行う場合は、スキルの高いインタビュアーにお願いしましょう。
非構造化インタビューとは、質問項目を決めずに、テーマのみで自由に対話するインタビュー方法です。
メリットとして、質問項目が定まっていない分、自由で、想定していなかった発見が得られる可能性が最も高い方法である、という点が挙げられるでしょう。会話もユーザーが主導しますので、インタビュースキルも半構造化インタビューほど必要とはされません。
デメリットとしては、自由なのが災いして、ユーザーが話を脱線させてしまう可能性が高い、という点です。
インタビュアー側では現在の話題が脱線したかどうかが判別しにくく、関係ない話だと思っていたら、しばらくして主旨に戻ってきた、という事が発生します。
そのためしばらくは堪えて聞いている必要があるのですが、期待虚しく完全に脱線していることも少なくありません。その場合はそっとテーマの再確認を行う必要があります。
質問方法は、大まかに分けて二つ存在しています。それは、「オープン・エンド型」と「クローズド・エンド型」です。
オープンエンドは、回答者が自由に解凍できる質問です。回答が開かれている、ということなのですね。
具体的には「昨日何しましたか?」「ご趣味は何ですか?」といった内容の質問は、オープンエンド型の質問に属します。
一方クローズドエンドは、はい/いいえで回答する質問です。質問が閉じられている、といことになります。
具体的には「昨日のお出かけは楽しかったですか?」「趣味は読書ですか?」という内容の質問は、クローズドエンド型の質問に属します。
ユーザーインタビューにおいては、質問はオープンエンドが望ましいです。何故ならば、オープンエンド型の質問から得られる情報の方が、発見が多いためとなります。
インタビュアーの立場で気をつけるべき点として多くの場所で語られるのは、バイアスを排除することです。
インタビュアーはバイアスに従って、望む答えを聞きたがってしまいがちです。何か仮説があった場合、質問者がその仮説通りに応えるように、質問で誘導してしまう、という事は起こりがちなミスと言えるでしょう。
では肝心のバイアスの排除方法は様々です。
インタビュー前の仮説、というものは誰しも持ってしまいがちですので、まずはそれをインタビュー前に捨てて置く必要があります。
例えばフィールドワークを行えば、「こんな人もいるのか」と想定外のパターンを目の前にして、バイアスを捨てることに繋がるかもしれません。
自分のインタビューの質問に、自分で答えてみる、というのも有効です。スラスラ答えられたら、そういう答えが返ってくるだろう、という仮説が強い状態の表れとも見做せます。
実際のインタビューでは、前項で述べたオープンエンドが有効です。回答を聞いた後に「これこれこういう事ですか?」とクローズドエンドの質問をして、回答を誘導してしまうミスが発生するかもしれません。「それはどういうことですか?」とオープンな質問を心がけましょう。
ストーリーを聞きだせるか、というのは、インタビューにおいて非常に大きな要素です。
例えば、あなたは良く使用するアプリをなぜ良く使用してしまうのか、明確に回答できますか? 多くの方は難しいかと思います。それは、無自覚な理由によってそう言った行動をとっているためです。
そういった無自覚の理由は、単なるインタビューでは直接聞きだすことは難しいでしょう。一般論的なところから、無難な回答を作り出してしまう回答者もいるかも知れません。
そんな無自覚な理由を分析するために必要な情報。それがストーリーになります。
ストーリーが分かると、「本人はこう考えているが、実際はこう言った理由のためにアプリを使っているのだ」と推測を立てることが出来るようになります。
例えば、Youtubeをつい見てしまう理由を尋ねれば、普通は「楽しいから」「見たい動画があるから」と回答者は答えるでしょう。ですがストーリーを聞きだすと、回答者は作業中、集中力が切れたタイミングでつい癖でYoutubeを開いている、というストーリーを聞きだすことが出来るかもしれません。そしてそれが分かれば、集中力が切れたところで差し込む情報媒体、という形で新しいニーズを見出すことが出来るのです。
では肝心のストーリーは、どのように聞きだせばいいのでしょうか。
ストーリーの聞き出し方には流れがあります。それを辿れば、ストーリーは聞きだせます。
その流れは以下の通りです。
・体験の有無
・体験の頻度
・直近の体験
例えば、「そのアプリ使ったことあります?」で体験の有無を確認し、あれば「どのくらい使います?」で頻度を知れます。そして「最近どんな時使いました?」という流れで、直近の体験を聞きだせます。
この方法で、ユーザーは回答しやすく、かつストーリーを答えてくれる、という訳なのです。
以上が、ユーザーインタビューの方法、およびポイントです。では、以下にまとめたいと思います。
ユーザーインタビューの方法は3つあります。それは、構造化インタビュー、半構造化インタビュー、非構造化インタビューです。
構造化インタビューは、決められた質問に沿って行うインタビューです。メリットとして、多くの回答者から定量的に回答データを収集できる点です。
半構造化インタビューは、決められた質問に沿いつつも、適宜追加質問で深掘りが出来るインタビューです。想定外の発見が得られる反面、スキルが求められます。
非構造化インタビューは、テーマに沿って自由に会話をするインタビューです。もっとも想定外の情報が得られる可能性の高いインタビューですが、脱線するリスクがあります。
つぎに、ユーザーインタビューのポイントについてです。ユーザーインタビューのポイントも3つあります。それは、オープン・エンド型で行うこと、バイアスを取り除くこと、ストーリーを引き出すこと、です。
まずオープンエンド型についてですが、「○○ってどういうことですか?」と言ったような、はい・いいえで答えられない質問をする、という事です。これによって、回答者を誘導してしまう危険を排除できます。
次にバイアスを取り除くことについてですが、バイアスをもって質問すると回答が本質に迫れないことがあります。そのためバイアスは、フィールドワークや自分の質問に自分で答える、などの方法で発見、排除できます。
最後にストーリーを引き出すことについてですが、ストーリーを聞きだせると、回答者の知らない理由を発見することが出来ます。ストーリーの聞き出し方は「体験の有無を聞く」「体験の頻度を聞く」「直近の体験を聞く」ことで聞きだせます。
以上が、ユーザーインタビューの方法とポイントになります。ご活用いただければ幸いです。