UIUXとは、一般的にソフトウェアの操作面、及びその操作感のことを指します。

そんなUIUXの作成は、一大事業です。その一大事業を終え、UIUXを完成させたともなると、そうしばらくはちょっとした変更すら要らないように思えます。

ですが、そんな油断は命取りです。UIUXは頻繁にリニューアルが必要な媒体で、ともすれば完成したその瞬間ですら、リニューアルの必要があるかもしれないほど。

ですが、闇雲にリニューアルするのもお金の無駄です。であれば、リニューアルはいつすべきなのでしょう。そのタイミングは以下の通りです。

・ユーザーテストで需要と供給のズレが発覚したとき
・機能が増えたとき
・改善なく3年経ったとき
・新スタンダードのデバイスに対応してないとき
・デザインが古くなったとき

では、一つ一つ説明していきます。

ユーザーテストで需要と供給のズレが発覚したとき  

UIUXは、開発者側の「こう使って欲しい」という供給と、実際に「こう使うのが分かりやすくて簡単」という需要がよくズレてしまうものです。

そんなズレは、よくユーザーテストと呼ばれる施策によって判明します。ユーザーテストとは、その名の通り、開発者の直接の説明を受けていない非開発者(ユーザー)が、開発者が提示する目的を達成するためにUIを扱う(テストする)のを、横でチェックする、というものです。

この効果は非常に大きく、「こんな風に勘違いさせてしまうのか」「こんな事も伝わらないのか」と、開発者にとっては目から鱗が落ちるような発見が次々に起こるのが特徴です。

そんなユーザーテストが一通り終わった後には、もちろんリニューアルが待っています。

ここからのリニューアル方法はいくつかありますが、基本的な方針としては、3種類存在します。

・開発者の使い方を教える
・ユーザーの使い方を取り入れる
・情報設計を見直す

開発者の使い方を教える  

開発者が想定している操作法に合わせるのが適切であると考えるのならば、開発者がどのようにUIを使用するかを直接教えてしまう、というのが分かりやすい手の一つです。

例えばチュートリアルの実装を行えば、ひとまずユーザーはその通りにUIを使用してくれるでしょう。昨今の流行りとしては、画像よりも動画でチュートリアルを行うのがより効果的にユーザーに使い方が分かります。

他にも、通知を出す、といった方法があります。すでに実装済みのものがあれば、それを目立たせるような形の通知を出してもいいですし、それこそリニューアル直後のタイミングで通知を出して新しい仕様の実装を告知するのもいいかもしれません。

告知のやり方にも複数あって、例えばお固めなソフトウェアであれば、メールなどでリニューアルの告知をしてもいいですし、カジュアルな媒体ならば、ログインしたタイミングで大々的に告知をポップアップしてもいいと思います。

例としては、ディスコ―ドの告知などは、ログインのタイミングで行われます。ディスコ―ドは、カジュアルで軽いノリの運営チームが有名ですね。

ユーザーの使い方を取り入れる  

その通り、ユーザーの使い方がよりサービスの本質に迫っていると判断したのならば、その方法を正式に取り入れる、というのも一つの方法です。

ユーザーとしては今までのやり方から変えずともいいので楽ですし、開発側も旧開発バージョンの分かりにくい導線を止めるだけでいいので、コスト的には一番軽い方法と言えます。

情報設計を見直す  

最後に、現状のUIUXも、それを誤認してユーザーが使用している方法も適切でないと判断した場合、情報設計の段階から見直してしまう、というのも一つの手です。

この情報設計を見直すにあたって、メンタルモデルという概念が役に立ちます。

メンタルモデルとは、人間が無意識のうちに持っている、価値観や思い込みです。

UIUXとは、基本的にこのメンタルモデルに乗っかる形で構築します。クリックして欲しい場所なら、以下にもボタンらしいデザインにして、立体感を付けるなどで「押せそう」という認識を抱かせます。押せそうであれば、人間は自然と押すべき時に押すという判断が出来ます。これが、メンタルモデルに乗っかるという事です。

情報設計は、このメンタルモデルに即して行うべきです。もしユーザーテストでどうやってもよろしくない結果が出たのであれば、メンタルモデルを意識しながら情報設計の段階に立ち戻ってリニューアルを行うことをお勧めします。

機能が増えたとき  

開発側の都合で機能が増えた場合は、もちろんUIUXのリニューアルが必要です。というよりは、UIUXの増築が必要になるというべきでしょうか。

新しく増えた機能には、新しいUIUXデザインが必要になります。前項でも述べた通り、情報設計を行いながら、UIUXのリニューアルを行わなければなりません。

ここで注意すべきなのが、今までのUIUXと競合状態を起こさないようにする、という事です。ボタン一つをとっても場所を取る以上、新機能が既存機能のうちのどの分類に近いか、既存機能のUIUXに近くに良いスペースは存在しているか、などを考える必要があります。

改善なく3年が経過したとき

もしあなたが担当するUIUXがもし3年間何のリニューアルも行われていなかったのならば、今すぐにでもリニューアルの準備を開始しましょう。3年間リニューアルが行われていないのであれば、それはリニューアルの必要がなかったのではなく、リニューアルの必要性に気付けなかった可能性が非常に高いです。

この場合恐らく、すべきことが何かも分からないところからスタートするかと思われます。ですので、まず行うべきは顧客ヒアリングや前述のユーザーテスト、あとはブレインストーミングでタスクの洗い出しなどを行うことで、次々にUIUXでどのようなリニューアルが必要となるのかが分かるはずです。

新スタンダードのデバイスに対応してないとき  

新スタンダードのデバイス、というと汎用的な言葉になってイマイチ分からない方もいるかと思いますので、例を挙げたいと思います。

例えば、ネットと言えばPCで見るもの、という時代に作成したPC対応のみのUIUXがあったとしましょう。そんなときに、スマートフォンが発売され、一気に若年層にネットはスマートフォンで見るもの、という認識が出来たとします。

そんなときに、PC対応のみのUIUXは、スマートフォンにも対応できるようにすべき、という話です。スマートフォンに続く新しいデバイスがいつ現れるのかは予想が難しいところでありますが、ひとまずスマートフォン対応が出来ていないUIUXを担当しているのであれば、それはリニューアルのタイミングが迫っている証拠です。

デザインが古くなったとき  

最後は、すこし曖昧ですが、デザインが古くなったときがリニューアルのタイミングと言えるでしょう。古くなった、という判断は主観的なため明確とは言い難いですが、こちらも重要なリニューアルタイミングです。

というのも、デザインが古くなったと感じられるとき、ユーザーは「古臭いUIUXだから機能も不親切なんだろうな」と認識します。それが事実か否かによらず、そういった形で信用を落としてしまうのです。

今風のUIUXか、それとも古いか、というのは主観的なものではあるものの、それだけに機能に依存しない信用問題に直結する重要な要素です。UIUXはとても使いやすいのにデザインが古いせいで信用を失ってしまうのでは、非常にもったいないでしょう。もし古いUIUXが古ければ、リニューアルを行うべきです。

まとめ  

以上が、UIUXのリニューアルのタイミングです。では、以下にまとめたいと思います。

1.顧客ヒアリングで需要と供給のズレが発覚したとき
ユーザーテストは需給のズレに関する大きな発見が、ドンドンと発生するとても効果的な施策です。このタイミングでは、開発者の操作方法を教えるやり方、ユーザーの使用方法を正式に取り入れるやり方、そして情報設計を根本から見直すやり方の3種類でリニューアルが可能です。
2.機能が増えたとき
機能が増えた場合、もちろんUIは追加しなければなりません。ですがそのまま追加できるスペースが存在するとも限らないので、必然的に既存UIも再設定するリニューアルという事になりがちでしょう。情報設計に注意が必要です。
3.改善なく3年経ったとき
UIUXを一切の改善なく3年が経過していた場合、リニューアルのタイミングに気付けずに時間が経過してしまった可能性があります。テストやヒアリングなどでタスクを洗い出すところから、リニューアルを始めましょう。
4.新スタンダードのデバイスに対応してないとき
新スタンダードのデバイスに対応していない場合も、リニューアルのタイミングです。PCにしか対応していないのならばスマートフォンにもUIUXを対応させましょう。さらに新しいスタンダードデバイスが登場したのなら、そちらにも対応させるべきです。
5.デザインが古くなったとき
デザインが古い場合、それだけでユーザーからの信用を失ってしまう可能性があります。主観的な問題ですが、デザインが古いことで離れていくユーザーは多いもの。是非リニューアルを行いましょう。

以上が、UIUXのリニューアルのタイミングです。ご活用いただければ幸いです。